AIとディープラーニングの違いとは?活用例や製造業へのメリットを解説

 2021.10.05  HOYAデジタルソリューションズ株式会社

近年、「AI」や「ディープラーニング」という言葉は一般にも知られるようになってきています。しかし、その正確な意味を説明できる人は意外と少ないのではないでしょうか。そこで本記事では、AIやディープラーニングの概要や双方の関係について詳しく解説します。また、製造業におけるAIの活用例やメリットについても紹介します。

AIとディープラーニングの違いとは?活用例や製造業へのメリットを解説

AIとは

AIは”Artificial Intelligence”の略語で、日本語にすると「人工知能」を意味します。AIの詳細な定義は研究者のあいだでも、未だに意見が分かれていますが、大まかに言えば、「一般的に知性と言われる能力を再現するコンピュータープログラム」と捉えればよいでしょう。「人間のように考える機械」と言っても理解しやすいですが、実際には人間ほど柔軟な知能を持ったAIはまだ実現していないのが現状です。

最新技術のようなイメージが強いAIですが、その研究自体は1950年代には既に始まっていました。早くからその将来性を期待されていたAIですが、それが実用段階に至るまでには、コンピューターの情報処理能力や記憶容量といった基幹技術が発展するまで時間を要しました。逆に言えば、近年AIが急速に活用され始めているのは、ビッグデータの取得を始め、そうした基幹技術の飛躍的発展によるところも大きいと言えるでしょう。こうした基幹技術の発展や後述するディープラーニングの効果もあり、現在のAIは将棋やチェスのプロ技師を負かすほど、一部の領域で人間を上回るほどの能力を得ています。

AIの活用例

一口に知能と言っても「記憶力」や「計算力」など多様な種類があるように、AIの能力も「学習能力」「自然言語処理能力」「画像認識能力」「音声認識能力」「推論能力」など様々に区別されます。こうした能力を活かすことで、AIは現在、多くの領域で人間の仕事をサポートしたり、代行したりしているのです。

たとえば、画像認識能力に優れたAIを使えば、工場での検品作業で異常な個体を自動で発見し、取り除くことが可能です。これは医療の領域にも応用可能で、AIによる画像診断は今後の発展が大いに期待される分野です。あるいは、在庫管理システムにAIを組み込んで、発注作業の大部分を自動化することで、在庫数の最適化を実現したという事例もあります。その他、AIドローンによる農薬散布や送電線点検、AIカメラによる映像の自動撮影・自動編集など数えきれないほどの業務分野やサービスでAIは既に活用されており、今後もその活躍の場はますます広がっていくことが確実視されています。

ディープラーニングとは

AIと関連して最近よく耳にする機会が増えたのが「ディープラーニング」という言葉です。AIが何か物事を学習することを「機械学習(マシンラーニング)」と言いますが、ディープラーニングはこの機械学習の方法の一種です。ディープラーニングは、2006年にジェフリー・ヒントン氏らによって開発され、日本語では「深層学習」と訳されることもあります。

AIの学習方法は大別すると、「暗記学習」と「自律学習」の2通りに分けられます。簡単に言えば、暗記学習とは人間が入力した学習用のデータ(教師データ)をそのまま忠実に記憶する方法で、人間でいうところの丸暗記に該当します。他方、自律学習は教師データから「自動的に」各データの共通項なども分析して学習し、より一般的な知識や法則性を自ら見つけるというものです。そしてディープラーニングは、この自律学習を可能にするための核心技術と言えます。

この2つの機械学習の違いを英語学習に例えてみましょう。暗記学習型の場合、開発者はAIにそれぞれの単語の現在形と過去形の区別をさせるために、覚えさせたい単語の現在形と過去形をすべてその都度インプットしていかなければなりません。要するに、暗記化型AIは知識を一般化する能力に欠けているのです。

しかし、自律学習型のAIは「work=現在形」「worked=過去形」などと深層学習を進めていくうちに、「語尾に-d/-edが付くものは過去形である」と自ら学んで知識を一般化することで、暗記学習よりも遙かに深く、汎用的な知識を獲得できるのです。このように、ディープラーニングの開発によって、AIの学習に要する時間、労力、費用などの総合的なコストを大幅に削減することが可能なのです。

ディープラーニングの活用例

ディープラーニングによって、AIは以前より遥かに幅広い用途に活用できるようになりました。たとえばその一例としては、カスタマーサービスやヘルプデスクで活用されているチャットボットが挙げられるでしょう。

チャットボットとは、人間の言葉に機械が自動応答してくれるシステムのことです。AIが搭載されたチャットボットは膨大な単語・対話データの深層学習によって、ユーザーからの曖昧な質問や専門分野の問い合わせに対しても的確な回答が可能です。AIチャットボットを導入することで、企業はオペレーターの業務負担の軽減や、顧客満足度の向上などを実現できるでしょう。

また、場所、時間、天候、交通状況などのデータを元にしたタクシーの乗車需要の予測分析や、商業施設における来客の行動や動線などの来客分析にもディープラーニングは役立てられています。ディープラーニングは、学習データが多ければ多いほど高い学習効果を発揮します。それゆえ、モノにインターネットへの接続機能を持たせて、情報の取得・蓄積・転送を可能にするIoT技術と組み合わせることで、さらにAIの能力は向上していくことでしょう。

AIとディープラーニングの違い

ここまでの説明からも分かるように、ディープラーニングとは、AIが備える学習機能ないしは学習方法のことを指しています。時々、ディープラーニングとAIをイコール関係で捉えたり、ディープラーニングという種類のAIがあるのだと解釈したりしている人も見受けられますが、その理解の仕方は正確ではありません。

ディープラーニングが開発される以前からAIは存在していましたし、もしかしたら今後ディープラーニングに取って代わる機械学習の方法が開発されることもあるかもしれません。いずれにせよ、ディープラーニングはAIそのものを指すのではなく、AIの機能を支える一手法であると理解することが賢明でしょう。

AIやディープラーニングが製造業にもたらすメリット

続いては、ディープラーニングによって発展したAI技術が、製造業においてどのようなメリットをもたらすのかについて解説します。

検品コストの削減

従来の検品作業では、作業員による目視やベテラン作業員の勘に頼る部分がほとんどでした。しかし、こうした人力での作業は個々の従業員の経験や能力、あるいはその時々の体調などによって左右されるため、業務効率や労働成果の標準化が難しいという側面を持ちます。しかし、検品作業にAIを活用して自動化することで、検品の漏れやミスの発生を防止し、人件費の削減まで実現できるでしょう。

品質の向上

AIによる業務の自動化は、そもそもの製品品質の向上にも寄与します。製造業においては、あらかじめ決まった工程で作業が進められますが、人の手による作業はどうしても多少のミスやヒューマンエラーの可能性を排除できません。そこで、ディープラーニングによって高性能化したAIを活用することで作業員の負担を軽減し、正確性・生産性の高い製造ラインが構築できるのです。

安全な職場環境作り

製造現場の中には、ときに人間にとって危険度の高い部分もあります。そしてそれは最悪の場合、作業員の死亡事故さえ生じさせてしまうのです。しかし、AIに危険な作業を割り振れば、作業員の事故被害を大幅に抑制できます。AIの活用が大事な作業員を守り、安全な職場環境を作ることに役立つのです。

まとめ

本記事ではAIとディープラーニングの概要やその違い、そして製造業における活用メリットについて解説しました。ディープラーニングとは、AIの学習効果を飛躍的に高める革新的な学習機能のことを意味します。AIとディープラーニングの関係はイコールで結ばれるものではありませんが、ディープラーニングの開発が、今日のAI技術の躍進に大きく貢献していることは確かでしょう。ディープラーニングの開発によって高性能化したAIは、製造業を含め、様々な領域で既に活用されており、今後もさらに人間の労働や生活を助けるものと期待されています。

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