日本で業務改革が進まなかったおおもとの原因は、日本企業の強さの源泉とも言われる、いわゆるカイゼン活動による現場力にあるのかもしれません。
日経xTECHの木村岳史氏の各種記事を読み、論じられている内容を理解すると、なるほどそうだったのかと合点がいくのです。
人材の流動性が高く2~3年で退職や転職が普通に行われる欧米企業では、属人化は絶対悪であり、それへの対応である業務プロセスの標準化やノウハウの共有化と形式知化が企業の強みであり、全体最適が重要との考え方が浸透しています。そこでIT投資の目的もこれら業務プロセスの標準化とノウハウの共有化に向けられ、ERPやグループウェアの適用が進められてきたのです。
一方、日本企業は長く続く終身雇用制により業務ノウハウは組織に残るため、属人化に対する問題意識は薄く、むしろカイゼン活動による現場力が企業の強みの源泉であり、事業部や部署ごとにカイゼンが実施され現場力の強化つまり部分最適化が進みました。そこでIT投資もこれら部分最適化された各部署のベストプラクティスをシステムに実装するものでした。その結果、グループウェアを導入しようとしても現場の支持が得られないとかERPの導入ではアドオンだらけとなってしまったのです。
しかし、近年、終身雇用の前提が揺らいできて人材の流動化が徐々に高まっていること、若手の採用を控えてきた結果、高齢化が進みベテランのノウハウが若手に引き継がれていないなど、属人化したノウハウが使えなくなるリスクが増大してきています。
これまで日本企業の強みであった現場力がここに来て足かせになっているということです。企業を取り巻く経営環境が大きく変わると従来の尺度が通用しなくなるのです。
発想の転換が必要です。業務プロセスの標準化が進んでいない日本企業では業務プロセスの標準化を急ぐ必要があります。
弊社が行っている前述の「ERPの概念を前提とした業務見直し」では部署間で異なる業務プロセスを共通化して業務プロセスの標準化を進めますので、ERPの導入をご計画の企業様はご検討ください。