最新クラウドERP Dynamics 365にアップグレードする際のポイントを紹介

 2021.02.15  HOYAデジタルソリューションズ株式会社

Microsoft製のERPソフトウェア「Dynamics AX」は2023年を以ってサポートが終了します。今後のセキュリティリスクを考えると、早期にクラウド型のERP「Dynamics 365」へ移行することが望ましでしょう。そこで今回は「Dynamics 365」にアップグレードする際のポイントについて解説します。

Dynamics AXのサポート終了期限

企業資源を一元管理して経営の合理化を図る重要なシステム「ERP」。そんなERPシステムで高いシェアを誇るのがMicrosoft製の「Dynamics AX」です。しかし、Dynamics AXは2021年10月12日を以ってサポートが終了します。旧バージョンの「AX 2009」「AX 2012」「AX 2012 R2」が2021年10月12日で終了し、「Dynamics AX 2012 R3」は2023年1月10日にサポート終了します。

サポート終了後の問題とは?

サポート終了における最大の問題はセキュリティリスクです。ERPは、会計管理や人事管理、生産管理やプロジェクト管理、そしてサプライチェーン管理に至るまで、さまざまな業務データを一元管理するシステムです。経営戦略の要となるシステムであり、厳重なセキュリティ管理が求められるのはいうまでもありません。

製品のサポート期間終了後は、セキュリティ更新に関するアップデートが一切提供されなくなり、不正アクセスやウィルスといったサイバー攻撃による情報漏えいリスクが増大します。情報漏えいは経済的損失だけでなく、企業の社会的信用を毀損するおそれがあることから、絶対に避けなくてはなりません。

MicrosoftのDynamics AXと並んで、高いシェアを誇っているのがSAP社の「SAP」です。しかし、SAPもまた2025年でサポートが終了することから「SAP 2025年問題」と呼ばれ、問題となっています。このように、レガシーシステムによるセキュリティ危機が多くの企業において顕在化しているのが実情です。このことから堅牢なセキュリティを備えた新たなERPシステムの導入が急がれています。

企業がアップグレードへ踏み入れない理由

多くの企業がERPシステムをアップグレードする重要性を理解しながらも、踏み込むことができないのには2つの理由があります。

コストの問題

ERPシステムをアップグレードできない最大の理由は、莫大なコストが必要になるためです。Dynamics AXやSAPのような大規模ERPを導入するには、サーバーやネットワーク機器の導入はもちろん、データセンターの設置、保守・管理にかかる諸経費など、数億円から数十億円ものコストを必要とします。大企業であれば問題はなくとも、資金力に不安のある中小企業では、これだけの導入費用を捻出することは容易ではありません。

シングルインスタンスの問題

シングルインスタンスとは、本社だけでなくグループ会社や海外拠点まで同じERPシステムを導入するマネジメント方法です。すべての情報を集約して一元管理することで、データを可視化して統括的に事業戦略に応用できる手法として注目を集めました。しかし、実現するにはあまりにも莫大なコストと時間を必要とし、市場の変化に対するフレキシブルな対応が困難になるという問題が発生。企業全体の事業効率化を目指すシステムが、かえってグループ全体の硬直化を招いてしまったのです。

Dynamics 365へのアップグレードアプローチ

Dynamics 365へとアップグレードするプロセスは大きく分けると3つあります。1つ目は「テクニカルアップグレード」、2つ目は「再実装」、そして3つ目が「ハイブリッド」です。ここでは、それぞれのアプローチについて解説します。

テクニカルアップグレード

「テクニカルアップグレード」とは、現在導入しているERPシステムのコードとデータを引き継いだまま移行する方法です。テクニカルアップグレードのメリットは、迅速なシステム移行ができる点です。しかし、Dynamics 365の新機能を利用することは不可能。あくまでも現状システムを基本としてアップグレードするプランとなっています。

再実装

「再実装」とは、その名の通り使用しているERPシステムをDynamics 365へと再マッピングする手法です。再実装のメリットは、すべてのビジネスプロセスを分析して、自社の事業戦略に適応したシステムを構築できる点にあります。

デメリットとしては、詳細な分析と調査が必要になるため、導入に多くの時間と費用を必要な点が挙げられます。

ハイブリッド

テクニカルアップグレードと再実装のメリットを取り入れたアップグレードアプローチが「ハイブリッド」です。この方法の大きな特徴は、現在導入している既存システムを活用したまま、Dynamics 365の新機能を適用できる点です。既存のカスタマイズを最適化し、なおかつ固有のビジネスニーズに適合した新たなシステムを構築できます。

アップグレードにはハイブリッドが最適

ハイブリッドアプローチによるシステム移行は4つのフェーズに分けられます。

最初は「評価フェーズ」です。ここでアップグレード戦略や方向性を定義します。2番目は「解析フェーズ」で、ソリューション設計とアーキテクチャについて決定します。3番目のフェーズで、実際にアップグレードを実行し、データの移行や品質確認を行うのです。最終フェーズは「デプロイ」です。デプロイとは「配置」や「展開」を意味する言葉で、その名の通りあらゆるデータの段階的な取り込みを行い、システム移行を実装します。

先述の3つのアップグレードアプローチの中で、最も推奨したいものがハイブリッドです。テクニカルアップグレードは素早い移行ができる代わりに、新機能の活用に制限がかかります。再実装は現状のビジネスに適合したシステム構築を得意とする一方で、多くの時間と費用が必要です。それらテクニカルアップグレード・再実装のデメリットを補完しつつ、両者のメリットを活かす、最もバランスに優れたプランが、ハイブリッドだと言えるでしょう。

まとめ

ERPは企業資源を統括管理する基幹系情報システムであり、企業を支える柱といっても過言ではありません。そのため、ERPシステムのセキュリティ管理は万全を期さなければなりません。レガシーシステムを使い続けることは、測り知れないサイバーリスクを背負うことになります。そのため早急なDynamics 365へのアップグレードが求められます。

より安全に、より確実にアップグレード作業を完了するためには、システムの導入支援サービスの利用がおすすめです。HOYAデジタルソリューションズ株式会社では、システム導入に特化した企業と業務提携し、ERPシステムの導入支援サービスを展開しています。Dynamics 365への確実なアップグレードを実現するためにサービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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