医療機器メーカーとして必須の原材料資材の入荷から出荷先までの在庫トレース機能をご提供しております。
人の命に関わる可能性がる医療機器を扱う企業には日本を含め、輸出先の国、地域毎の様々な品質関連の規制がかけられています。扱っている医療機器を出荷する場合は最終出荷先の型式認証が必要なのはもちろんですが、一台毎にシリアルナンバー・バーコードを付加し、出荷先の設置場所を管理し、本来であれば使用場所が変わった場合はその移設場所まで管理することが求められています。
HOYAデジタルソリューションズでは、自社を含めグループ内で医療用内視鏡や人工骨、眼内レンズなどの高度な医療機器を扱っている経験・ノウハウを広くご提供すべく、日本の厚生労働省令、米国FDAを中心とした各国規制への対応コンサルティングを含めたトレースソリューションをご提供させて頂いております。
また、この医療機器業界向けトレースソリューションでは、在庫トレース以外に、品質の視点で業界特有の様々な機能をご提供させて頂いております。特に医療機器業界に特化したPDM文書管理システムとは密に連携し、出荷済のシリアル#から、最終品質検査の記録、製造段階のDHR(機器履歴簿)とDMR(機器原簿)を参照し、設計に問題があればDHF(設計履歴)を改版する設計変更をタスク化します。設計の問題ではなく、原料・資材に起因する問題であれば、仕入れ先から納入された入荷ロットにまで遡ることを可能としています。また、必要に応じて、FDA監査時の指摘事項として最も多いCAPA(Corrective Action and Preventive Action)のプロセスタスクをキックすることも可能となっています。
この医療機器向けトレースソリューションは、PENTAXブランドで医療機器をご提供させて頂いている事業領域で基幹として使用している Microsoft 社の Dynamics 365をベースにカスタマイズしたソリューションとなっています。尚、本ソリューションはクラウドソリューションとなっており、追加カスタマイズのご要望が無ければ、既存データの移行、マスター登録の実施のみで最短3ヶ月で使用可能となり、基本的にはユーザー数に応じた使用した分のみの月額従量課金となっており、初期構築費用を大きく低減できます。
また、この医療機器向けトレースソリューションは最新のSaaS型のクラウドサービスですので、セキュリティー管理、高可用性の担保、高いスケーラビリティー・投資対効果など様々な面で、そのメリットを最大限に享受することが可能です。
一般的な在庫管理システムが持つ、入荷、在庫移動、棚卸、出荷などの在庫管理機能に加え、医療機器の製造、販売業で必要となる在庫トレース機能をご提供しています。
在庫管理機能(一般)
シリアル番号、ロット起点の在庫トレース
など
医療機器向けPDM(文書管理)を同時に使用されるている場合、在庫トレース機能と連携して関連した文書を呼び出し、参照することが可能となります。使い方の例として下記のようなものが考えられるかと思います。
など
医療機器を扱う企業には ISO13485 や 21 CFR 820 QSRに代表される、厳格な品質管理システムが求められています。人為的なミスや規格外の製品が市場に出ることを未然に防止し、設計、プロセスの改善に役立てるために、国際的な医薬品大手企業で企画、設計された品質管理の手順、プロセスを実装しております。もちろん医療機器のクラス分類に応じて、要求する管理レベルを緩和することも可能となっております。
品質検査指図の登録・発行
検査ロットの登録
品質検査結果の記録・承認
使用決定
医療機器を扱う小規模な事業所にとって、これらの品質関連プロセスは過剰に思えることもあるかと思います。更に、そのような事業所においては、人体への影響が軽微な医療機器を扱い、組織、権限がそこまで明確に分かれていないような場合もあるかと思います。しかし、FDAなどの査察への対応として、予め実施する仕組み・手順を整備し、常日頃からそのプロセス通りに実施することで、逸脱を発見・是正し記録を残すことをお勧めしています。
FDAの査察において、最も指摘事項が多いのがCAPA(Corrective Action and Preventive Action)であると言われています。逸脱、異常が発生した場合に、CAPAの対応として求められる一般的なプロセスをタスクとして起動します。
CAPAでは、品質に関連する記録が全て適切に記録、保存された上で、逸脱、不具合などが発生した場合に対応する仕組みが定義され、実際に是正、予防措置として日々の活動の中で定着し、機能していることが確認されます。よってその場しのぎの不適合、品質不良などの対応では無理があり、常日頃からの仕組みづくり、品質活動などの組織的な対応が必要となります。
特に1台1台をシリアルナンバー管理する医療機器においては、出荷が計画され、指示された機器シリアル以外を病院、クリニックなどへ出荷してしまうことは、出荷先の型式認証などを考慮すると信頼を大きく損なう結果に繋がります。そのため、医療機器を扱う企業にとって、品質を担保する上で出荷の機能は非常に重要な位置づけと言え、計画、指示されたロット、シリアル以外は出荷出来ないようにする機能をご提供しています。
など
医療機器や医薬を扱う企業として必須と言える、下記に対応しています。
電子認証への対応
監査証跡
権限管理
改ざんの防止
ISO13485 や 21 CFR 820 QSR に対応する品質関連の文書作成にMicrosoft社の Word、PowerPoint、ExcelやPDFなどのソフトウエアを使用している会社が多いかと思います。特にオープンシステムで CFR Part11 の対応をしようとすると、どうしてもドキュメントのプロパティ―に保存した作成者、変更日時などが失われてしまう問題が発生します。
このような問題を避けるためにも、一連の連携したクラウド上のSaaS型としてサービスされ、操作性も統一されたアプリケーションを使用するメリットがあります。このようなシステム構成とすることで、ユーザーのローカルPCでの文書作成、ローカル保存を避けることが出来、版管理の一意性が失われるなどの問題の発生を未然に防ぐことにもなります。
(下記は連携の例)
など
Word、Excelなどを社内のオフィースツールとして使用されている企業は多いかと思いますが、この医療機器向けトレースソリューションは、それらのオフィースツールと同じMicrosoft 社のツールであり、操作性も統一されているため、殆どトレーニングも不要なほど最初から違和感なく使いこなすことが可能です。Outlook の画面に完全に組み込んで使用することも可能となっています。
Apple が米当局から求められた場合、iPhone の通信記録を含めた全ての情報を米国当局に開示していることは一般的によく知られていることですが、同じアメリカの会社でも Microsoft の対応は全く違っています。米国内にあるデータセンターに保管されたデータであっても一切開示しないと断言しています。
クラウドアプリケーションの特徴・メリットは、その他のSaaS型のクラウドアプリケーションと同様です。
HOYAサービスでは、クラウド環境としてAmazon の AWS (Amazon Web Service)と Microsoft の Azure をご提供しておりますが、こちらの医療機器業界向けトレースソリューションは、その性質上、 Microsoft の Azure 環境でのご提供となります。但し、 Microsoft の Azure 環境はマルチクラウド環境を想定したオープンな仕様となっているため、既存の自社環境(オンプレミス)や AWS、Google Cloud 環境など殆どの環境とシームレスに連携した使い方が可能です。